*本プロジェクトは公益信託サントリー世界愛鳥基金の助成により実施されています。
オナガサイチョウは、東南アジアの熱帯雨林で暮らしています。羽を広げると180cmにもなる大きな体、その体の何倍もある長い尾、カスクと呼ばれるくちばしの上のツノのような突起部分など、独特な特徴を持っています。カスクは硬いケラチンでできていて、オス同志が戦うときに使います。
そしてそのツノを狙って密猟が横行。また生息地の熱帯雨林が減少したことからIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストにおいて、もっとも絶滅の危険度が高いIA種に指定されています。
ボルネオ島北東部のキナバタンガン川流域でも、サイチョウの繁殖に適した大きな樹木が伐採されたこともあり、その数が激減。地域レベルでの絶滅が心配されています。
今回のプロジェクトではサイチョウの保全・研究を続ける現地の研究者に協力し、繁殖用の人口巣導入を計画しています。巣の中に温度と湿度を計測するデータロガーを設置し、より自然巣の環境に近づけるための数値を記録したりと、サイチョウ保全に必要なための繁殖生態を少しでも解明できればと思っています。
また現地とのプロジェクトだけではなく、オナガサイチョウを切り口をとした啓発活動を展開します。日本から5,000kmも離れた南国の熱帯雨林と私たちの生活が結びついていることを知ってもらい、日常生活から環境問題を考えるイベントを開催します。
写真:くちばしの上の突起部分(カスク)と白黒の長い尾が特徴のオナガサイチョウ