2019年10月28日~11月1日まで、森井理事、青木事務局長が来年度の井戸掘り実施にむけ、現地の下見と調達資材の確認のためにボルネオに向かいました。今回は強力な助っ人として上総掘りに造詣の深い井戸掘りのプロフェッショナル河西陽氏が同行し、またマレー語を流暢に操る現地スタッフの岸さんも合流。万全の態勢で臨みます。
ボルネオ・エレファントサンクチュアリ(BES)での調査
BESでは、施設全体の工事の進捗を確認しつつ、河西さんの意見を聞きながら井戸の掘削予定地をチェックします。前回の訪問時に試しに3.5mほど掘った場所をそのまま使うのがいいのではという河西さんのアドバイスをもとに、井戸掘りに必要な粘土が周辺にあるか、土の質はどうか、といった周囲の状況確認を行いました。
地中深くに穴を掘っていくと、穴の壁(井戸壁)が崩れて埋まってしまうリスクがどうしても出てきます。粘土質の土を水で溶き、これを穴に注ぎ込みながら作業をすることで壁が剥がれ落ちないようにするわけですが、もし粘土が無い場合は別の場所から調達してきて掘削地まで運ぶ、という手間のかかる作業が加わることになってしまいます。採掘場所のすぐそばで良質の粘度が取れることがわかり、一同ほっと胸を撫で下ろしました。
井戸の掘削は肉体的につらい地道な単純作業の繰り返し。高温多湿のボルネオでの肉体労働は、とにかく体力を消耗します。数分穴を掘っているだけで全身から汗が吹き出してくるような状況での作業は疲労も大きく、こまめな疲労回復をしないと続けられません。そのための日陰での休憩と水分補給が欠かせないこと改め実感しました。本番では、休憩用に簡易的な屋根付きの休憩場所を作ろうということになりました。
KOPEL Eco Campでの調査
リーダーのマーティンに案内してもらい、井戸掘削の候補地へ。Eco Campはキナバタンガン川のほとりにあり目の前に三日月湖もあることから、あまり深く掘らなくても水源に行き当たるのではという期待がありました。過去に井戸を掘ろうと試みたこともありましたが、色々な事情があってその時は完成に至らなかったそうです。跡地にはまだ井戸らしき穴が残っており、中を覗くと水が溜まっていましたが「このままの状態で生活用水に使えるものでは無いよ」とマーティン。
宿泊施設から出る生活排水(自家製の濾過装置でしっかり濾過してから土に返しています)の影響が及ばない程度の距離にあり、かつ高台になっているところが今回の井戸掘削の候補地です。
実際に掘ってみると、候補地周辺の栽培に向いていそうなふかふかの土で、小さなシャベルでサクサクと掘り進めることができます。しかし粘土が出てきません。
ここを候補地にするのは難しいかと思っていましたがす、すぐ近くの場所から粘土を調達できることがわかり、予定通りここを候補地にすることにしました。とはいえEco Campでの井戸掘削は早くても2020年後半~2021年の予定です。息の長いプロジェクトです。
KOPELのスタッフにも色々と意見を聞きました。村の中に生えている竹のしなり具合を確認したり、「こんな竹を探している」と言うと「その種類の竹ならうちの叔父さんの家の庭に生えてるよ」なんてローカルな情報をもらったり。日本にいて悩んでいたことが思いも寄らない方向から解決することもあります。
スタッフにも本番さながらに竹を割いてもらいました。器用な彼らは初めての作業でもそれなりに出来てしまいます。それでも河西さんの割いた竹には「キレイに割れるね!」と驚いていました。
町で資材店めぐり
続いて、翌日にサンダカン空港側の工具店、材木店を視察。日本でいうホームセンター、DIYショップのようなお店です。上総掘りでは井戸掘りに必要な道具も手作り。現場の状況と用途に合わせて竹や木材、鉄、塩ビ管などを使って自分たちで作ります。
日本から持ち込むこともできないわけではありませんが、サイズが大きいため手持ちで飛行機に乗り込むことはできません。船便で送ろうとするとコンテナ代や条件の規制が壁となってこれもなかなか難しい。そこで河西さんのアドバイスもあり、現地で調達できるものは現地で買ってなるべく現地で作ろうということになりました。
KOPELのスタッフに話を聞いて、調達できそうな木材や竹を確認。町でしか買えないものはここのお店で買うことになります。
陽気な店員さんと岸さんが資材の長さやサイズについて細かいところまできちんと話、望むものはだいたい買うことができそうだということを確認しました。その後コタキナバル市街でも同様に資材を探し歩き、今回の視察は終了。野生動物をのんびりと見る時間はゼロでした。
BESでの井戸掘削は2020年3月を予定しています。またご報告します。