ボルネオレポート

サバ州の新型コロナ情報 Q&A

先日、日本でも5月末までの延長が出されたコロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言。2020年5月6日現在、世界中で368万人が感染し、25万人以上の方が亡くなりました。世界的位社会的、経済的な危機が継続するなか、ボルネオ島の様子はどうなっているんでしょうか。ボルネオ島サバ州コタキナバル在住のスタッフ岸優子さんに現地の様子を伺いました。

1.コタキナバルで発令されている制限の内容はどんなものですか?

3月中旬のクアラルンプール市内のモスクでの集団感染を受け、マレーシア連邦政府よりMCO (MovementControlOrd er)、日本語で言うと「移動制限令」が、3月18日~31日までの2週間発令され、その後4月1日~14日のフェーズ2、4月15日~4月28日までのフェーズ3、現在の4月29日~5月12日までのフェーズ4と延長がなされています。内容はその時々の状況に応じて強化されたり一部緩和されたりと臨機応変に対策がなされているのですが、基本は以下のような内容となっています。

‣ 集会の禁止(宗教、スポーツ、社会、文化に関するものを含む)
‣ 礼拝施設、事務所、商業施設はスーパーマーケット、市馬、食料品店、コンビニエンスストア等の日常必需品を販売する店舗を除き全てを閉鎖
‣ 金曜礼拝を含むモスクや教会での宗教行事の延期
‣ マレーシア人の出国の禁止。海外から帰国した者は検診を受け14日間の隔離
‣ すべての外国人の入国禁止(長期滞在ビザ保持者含む)
‣ 全ての教育機関の閉鎖(幼稚園含む)
‣ 必要不可欠なサービス* 以外の政府機関および民間企業の閉鎖

*「必要不可欠なサービス」とは
食料供給/水道&排水/電気/石油・ガス/金融・銀行業/医療・薬品/消防/警備&防衛/警察&刑務所/空・海・陸の交通/湾港/郵便/通信&ネットサービス/メディア放送/動物管理

参照:TheStar Online

レストランの営業は、テイクアウトまたはデリバリーサービスのみの営業となり、不要不急の外出や移動が制限されています。食料品・日用品の買い物は許されているのですが、買い物に出れるのは家族の代表1名のみとなっており、ジョギング等のスポーツも禁止、州外はもちろん州内移動も禁止されています。違反者はRM1,000以内の罰金又は6ヶ月以内の禁錮またはその両方が科されることとなっていたのですが、途中で罰金刑はなくなり即禁固刑へと厳しくなりました。

サバ州では人口の多いコタキナバルとサンダカンの2都市において、ガソリンスタンド・市場・スーパーマーケットやコンビニ・レストラン等の営業時間制限もあり、18時以降の外出は禁止されています。スーパーマーケットでも人数制限や子どもの入店不可、客同士の距離を保つこと、入店前の検温と手の消毒が義務付けられています。


4月末頃からは、どのようにMCOを解除していくか?に焦点が当たっていたのですが、先日5月1日の首相会見において、突然5月4日から全ての業種の営業再開を許可、単独でのスポーツも可能にする、車にも家族2名の乗車可能にするという声明が出され「まだ早すぎる」「ゾーニングをするべきだ」「これではすぐに第三波が来る」等の混乱が起きています。

サバ州は独自の自治権があり、普段から連邦政府とは異なる基準・規則が出されることが多く、今回も緩和はせず予定通り12日までMCOを続行する事となり、他州でも従わず独自の取り決めを行うなど、MCO開始時よりも、緩和していく過程での方が混乱が大きくなりそうな様子となっています。

2.町の様子はどうですか?

できればコタキナバル中心街の今の様子を写真でお見せしたかったのですが、食料品の調達も自宅の近所で済ますよう要請されており、MCO開始後は中心街にも行けていません。時々SNSに写真が上げられるのを見ると、やはりどこもシャッターが閉まっており、人も歩いておらず、車もまばらでゴーストタウンのように静まり返っています。


↑どのショップロットもほとんどシャッターが降りていて人がいません

営業しているのは、スーパー、コンビニ、フードデリバリー&テイクアウトのみ営業するレストランや食堂、ガソリンスタンド、ATM、薬局、クリニック・病院など。あと週3日だけペットショップ、カーサービス、タイヤショップ、週2日のみハードウェアショップ等が開いています。いずれも消毒やディスタンシングなどの細かな規則に沿って体制を整え、事前に営業許可を取得できたお店のみとなっていまして、全てのお店が開いているというわけではありません。

また、地区間の移動には、事前に取得した警察署の移動許可証が必要となっているのですが、各地区間の移動経路となる道路ではロードブロックが敷かれ、1台1台、外出の目的を確認されます。感染拡大を防ぐため、リスクのある中、炎天下で1台1台チェックをする警察官や軍の方々もとても大変そうです。

一見、軍の方が立っていると、どうしても物々しい雰囲気に見えてしまうものの、いつも食べ物をもらっていたお店が閉鎖し、飢えているであろう猫たちに食事を与えてまわる方などもいらっしゃり、今回は国民の健康を守ろうという使命感や温かみを感じます。

また、軍による検問やパトロールが州全域で行われる事で、犯罪や交通事故が減少するという思わぬ影響も出ているそうです。空も平時よりやはり綺麗になっています。

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