3.生活の不便はどう?
とにかくアパートメントの敷地内であってもジョギングはおろか散歩も出来ないという事で、閉塞感もですが運動不足になる点でストレスを感じるものの、食料や日用品は特に不足することなく購入できていますので生活面では特に困ることはありません。
マスクも2月3月はなかなか手に入らなかったのですが、4月中旬あたりからサージカルマスクが出回り始め、政府からの配給もあり今は足りている状況です。ハンドサニタイザーも一時期手に入らなかったものの今はたくさん出回っています。
不便とは少し違うのですが、大変なのは食料の調達時です。食材は外出回数を抑えているのために5日分くらいをまとめ買いしているのですが、もともとコタキナバルでは1店舗で欲しい食材が全て揃わないので「汗を流して並んで入店、気をつけて買い物」で数店舗ハシゴをするので、時間がいつも以上にかかり、荷物も大量になるので運ぶのが大変です。
帰宅時は車のハンドルやドアなど触れた箇所を消毒、家に入る前にマスクをビニール袋に入れ、手を消毒してドアを開けます。靴は家の中に入れません。家の中に入ったら、そのまま荷物をキッチンに運び、外装や袋は捨て、外装を外せないものは消毒をして処理をします。
ゴミはすぐに外に出し、バッグや携帯等も消毒。次にシャワーと、着て行った衣類を洗濯。そうしてやっと家族や愛猫と接触可能となるのですが、それだけで半日は潰れてしまいますし毎回なかなかの疲労度です。
この「帰宅した後すぐにシャワーと洗濯・消毒」は、MCO開始後にマレーシアの保健省から推奨された対策で、ご高齢者や乳幼児がいる家庭など、多くのご家庭でも行われています。大変ではあるものの、これらは、終息または治療方法や治療薬が確立されるまで、ディスタンシングと共に続けなければならない「NewNormal(新習慣)」になるのだろうな、と思っています。
そんな中、実は先日冷蔵庫が壊れてしまい青ざめました。すぐにいつもお世話になってる家電店に問い合わせるも、やはり閉まっていまして途方にくれかけたのですが、幸い我が家の移動可能なエリア内に許可を取って営業しているお店が1つ見つかりまして、いろいろと見て選ぶことが出来ませんでしたが、数日ほどで事無きを得る事が出来ました。
同じようにMCO期間中に家電が壊れるお家もあるようで、トラックには冷蔵庫や洗濯機が隙間なく積まれていたそうです。やはり営業許可を取るのも容易ではないのか限られたお店だけが営業を許されているようで、一極集中してしまうのでお店の方達も大変そうでした。この時、同時にウォータータンクの水漏れも発生してしまいまして、こちらも修理してもらえたのは翌々日。
何かハプニングが起きた際、いつものようにすぐ修理といかない不便さはあります。元々何でもよく壊れるのでMCO開始後はいつも以上に物を壊さないよう気をつけていたのですが、やはり起こってしまいます。
とにかく、外出できないようになって1番思うのは「普通に外を歩きたい」ということでしょうか。何かしらの理由で保護されてきて、突然狭い檻の中に閉じ込められた野生動物の気持ちを想像して過ごしています。
4.テレビや新聞はどんな様子ですか?新型コロナのニュースばかり?
連日、新型コロナ関連のニュースがほとんどです。日本のニュースもよく流れています。地域ごとの感染者数、回復者数、死亡者数、検疫中の人数、自宅隔離人数等の詳細が、連邦政府や州政府機関から毎日発表があり、TVニュース、ラジオ、新聞各紙、ネットメディアやSNSなどで、誰が見ても分かりやすいインフォグラフィックスで連日伝えられていまして、4月中旬頃には民間の間で「MCOの効果が出ているのを実感できる。もう少し皆で頑張ろう!」と声をかけあっていたのが印象的でした。逆に新型コロナ以外のニュースは相当減っています。
5.動物の保護施設はどうなっているの?
みなさまお馴染みのロッカウィ・ワイルドライフパーク、セピロック・オランウータン・リハビリテーションセンター、ボルネオサンベアー保護センター等の保護施設も全て閉鎖していますが、職員の皆さんは変わらず飼育個体の世話を続けています。
ここでも餌の搬入などで施設に入る方は、マスク着用、検温チェック、ディスタンシングが必要となっています。世界各国同様の問題ですが、いずれも入園料の減少で運営費が厳しくなっているかと思います。これらの施設はMCO解除後も、動物たちに感染しないよう何らかの対策を取ってのオープンとなるのではないかと思います。
6.旅行に行けるのはいつ頃になる?
今回の新型コロナウィルスはまだ分からないことが多く、治療法も治療薬の開発も何時頃になるかまだ見通しが立っていません。マレーシアでは、周辺諸国で感染拡大が発生したのは国境を閉じなかったことが理由だと見ており「MCO解除後も国境を開けることに対しては慎重に対応をしていく」とのことですので、外国人の受け入れ再開にはまだしばらく時間を要しそうです。
7.コタキナバルの感染状況は?
2020年5月7日現在で、サバ州全体で以下の通りとなっています。
▸ 総感染者数:317名
▸ 回復者数:280名
▸ 入院者数:28名
▸ 隔離者数:33名
▸ 死亡者数:4名
コタキナバルでは
▸ 総感染者数:50名(回復者数:41名)
▸ 入院者数:7名
▸ 隔離者数:7名
▸ 死亡者数:2名
となっていまして、新規感染者数はこのところゼロもしくは1名という日が続いています。
サバ州内の感染状況は、感染者数が多い順に、タワウ(82名)、コタキナバル(50名)、ラハ・ダトゥ(43名)、キナバタンガン(22名)、トゥアラン(22名)、サンダカン(21名)、ケニンガウ(16名)、ピナンパン(12名)、ボーフォート(11名)、プタタン(8名)、クナック(8名)、コタブル(5名)、シピタン(4名)、パパール(4名)、ラナウ(3名)、タンブナン(3名)、センポルナ(2名)、ブルラン(1名)となっています。
※参考:SABAHINFO
なお5月7日、8日からサバ州でも農業・食品業界・製造業・空運業・海運業、そして建設業もSOP(Standard Operation Procedur)に沿って一部活動の許可が出されることになり、車にも最大4名の同居家族の乗車が認められました。
マレーシア全体で11万人の失業者が出ているとの事で、様子を見ながら段階的に各業種の営業が再開されていきそうです。尚、サバ州の観光文化環境省からは、まずは国内旅行者の受け入れから復興を始め、年末ないし年始あたりには外国人観光客の回復を目指したいとのステートメントが出されています。
わたしたちがステイホームをするようになり、きっとキナバタンガン流域に暮らす生きものたちは、突然人間が来なくなりストレスなく悠々と過ごしているのではないかと想像しています。先日はポーリン温泉で野生のオランウータンが姿を現したそうです。今一度、ヒトと自然の距離や、私たちの生活についていろいろと考え直してみる。そのような機会にしていけたらと願っています。
すぐには難しいかも知れませんが、サバ州~日本間の行き来がまた自由に行えるようになりましたら、また是非サバに遊びにいらしてください。また、MCOが解除され、州内移動が可能となりましたら、キナバタンガンなど現場の様子もお伝え出来ればと思います。