「かごしま子供環境リーダー養成講座」の第3回「森がなくなったらどうなる?」で、講演とワークショップを担当しました。
鹿児島県では、くすの木自然館、かごしま環境未来館、かごしま水族館、平川動物公園の4園館が共同企画として「かごしま子供環境リーダー育成塾」(全8回 船の科学館「海の学びミュージアムサポート」支援事業)を開催されています。ウミガメや海洋プラスチックなどを通じてさまざまな環境問題を学習していますが、7月17日に第3回「森がなくなったらどうなる?」が平川動物公園で開かれ、BCTJも講師として参加させていただきました。
曇天でときどき雨が激しく降るあいにくの天気でしたが子どもたちは元気に登場し、前回の振り返りから始まりました。
最初に、平川動物公園でオランウータンの飼育を担当する永峰令子さんによる、ボルネオオランウータン(多摩動物公園から来たポピーくんという若者)の話。午前中に園内でポピーくんと対面してきた子もいて、熱心に聞いていました。講座が終わってから見に行った子もいたようです。やはり本物が伝える力は大きい!
次は、旭川市旭山動物園の坂東元園長の講演。ボルネオでは熱帯雨林が減って、オランウータンやボルネオゾウなどの野生動物がすむ場所がなくなっていること、アブラヤシプランテーション(農園)に入ってくるので人間ともめ事が起きていること、そのせいで害獣扱いされるゾウは現地政府機関(サバ州野生生物局)所属のレンジャーが捕まえて森に戻していること、人間とゾウ両方の安全のためにゾウ移動用の檻や保護施設をつくったこと、日本の動物園もこの活動を応援していること、そして木材やアブラヤシから作るパーム油は日本にいる自分たちが使っていることなどを、話しました。
とくに「現地で保護されたオランウータンの子どもの怯えた眼を見てしまったときから、パーム油を使うカップめんは食べない。大好物だけど、この10年ずっと我慢している」というエピソードは子どもたちの心に刺さったようです。
ワークショップでは「生息地分断ゲーム」を行いました。これはオランウータンのお面をつけた子どもたちが緑色のシートの熱帯雨林を自由に移動しているところに人間がやってきて森を伐採(シートを取ってしまう)してしまい、だんだん移動できる場所が少なくなるという、オランウータンの気持ちを味わえるゲームです。
小さなシートの上に数人が集まることになったり、遠く離れた場所にひとりぼっちになって動けなくしまったり、男の子ばっかりが集まってしまったり…と「生息地が狭いといろいろ困ったことが起こる」ことを実感してくれたようです。
その後は、「パーム油と私たちの暮らし」というテキストにあるパーム油製品のイラストを「これ、好き」「食べたよ」と言いながら見ていました。
後日送っていただいた参加者アンケートの「自分にできること」の欄には「カップめんを1年に1回にする」「食べ物を無駄にしない」といった回答がありました。ボルネオの森で起こっていることを自分ごととしてとらえてくれたようです。
この子どもたちが育成塾を経て、どんな風に成長するのか楽しみです。
写真提供/くすの木自然館