プロジェクト情報

井戸掘りプロジェクト報告

*本プロジェクトは三井物産環境基金の助成事業です。

三島で井戸掘り。手押しポンプ設置までたどりつきました。

ボルネオ島サバ州キナバタンガン川流域にあるボルネオゾウの保護施設(Borneo Elephant Sanctuary, BES)では長く続く乾季や公共水道の故障による水不足が頻繁におきます。そこで水の供給を安定させるために、2019年から井戸掘りプロジェクトがスタートしました。

ボルネオゾウ保護施設

井戸掘りの方法など模索した結果、「上総掘り」という日本の伝統的な工法が最適でした。工法を知る数少ない井戸の専門家で海外での経験も豊かな河西陽氏の指導のもと、豊橋総合動植物園の協力を得て、園内での道具作りや井戸掘りの練習、子ども向けのワークショップなどを行ってきました。2020年3月には実際にBESにおいて現地の人々と一緒に井戸掘りをスタートさせました。

完成した井戸掘り用やぐらの前で記念写真

ところが、コロナ禍の感染拡大による外国人の入国規制、現地の人々も厳しい外出規制で、作業はやむなく中断。組み上げた井戸のやぐらも大雨で崩れていまいました。

現地に行けないまま2年が過ぎ、コロナの終焉も見えないため、三井物産環境基金のご理解をいただきプロジェクト計画を一部変更し、井戸掘りのテキストを作成することにしました。

現地での経験を踏まえ、河西さんは道具ややぐらの改良を考案(実用新案特許申請中)します。静岡県三島で実際に井戸掘りを始めました。動画撮影をフリーカメラマンの川端将来さんに依頼し、BCTJはその様子を取材、撮影して日英併記のテキストを作成中です。

約1年前に第1回の取材・撮影を行いましたが、その後は緊急事態宣言などで移動ができないこともあり井戸掘りもなかなか進みませんでした。ようやく目処がついた3月12日と13日、2回目の取材撮影を行うことができました。

今回は井戸掘りの続きです。井戸の深さが7mまできたので、竹ひごが一本では届かなくなりました。そこでもう1本つなぎ、井戸孔にネバミズを追加し、鉄管で掘り、鉄管の中の掘りくずを捨てつつ掘りくずの中身を確認する、という作業を何回も繰り返します。

河西式の鉄管は内部に錘(おもり)をいれて掘削力を強化していますが、上総掘りに不可欠なのは何より根気と時間です。

作業を続けていくうちに水が確認できたため、手押しのパンプを設置しました。電気が不要で手動で動き(日本でよく使われる水中ポンプは電気が必要)、災害時でも使うことができ、修理が簡単だからです。

水は出てきたのですが、掘り進んだ穴の横の地層からも染み出すため、地下水にたどり着いたかどうかはまだはっきりしていません。

参加者:
井戸専門家の河西陽さん、村田康行さん、小林遼太さん、萩原宗彰さん、豊橋総合動植物公園の瀧川直史さん、池田泰子理事(グラフィックデザイン担当)、川端将来さん(動画撮影担当)、森井理事(編集担当)

1. 井戸が深くなってきたので、鉄管がそこにつくように竹ひごをつなぐ
2. 竹ひごを巻く肥後車の動きを確認
3. 掘り鉄管で地面を突き掘りする
4. 人出があるときは2人交代制で掘る
5. チェーンレンジで鉄管のネジを外し、中に詰まった泥を出す
6. 手押しポンプの取り付け
7. ポンプから水が出た!

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