今回は、密猟やプランテーションによって命を脅かされている動物たちと、それに関係する人々のことを考えていきたいと思います。
密猟者によって70発の銃で撃たれ殺害され、牙を抜かれたゾウが発見されるなど(9月30日FreeMalayToday)、このような密猟者の悪行に対応して、以前のボルネオレポートこちらに記載したような密猟者の撲滅に向けた取り組みがボルネオ島では行われています。
しかし密猟のニュースが流れた数日後、70発の銃を撃ちゾウを殺害した犯人は、密猟者ではなくプランテーションのガードマンであったことが報道されました。
ガードマンがゾウを殺害した動機としては、プランテーションへゾウが侵入し荒らすのを防ぐためだったようです。そして、その後牙を抜いたのです。
アフリカをはじめとし、象牙採収の目的でゾウの密猟が多発していることが背景に、ゾウの殺害と象牙採収のための密猟がすぐさま繋げられ考えられる傾向にあります。そして、「密猟が悪である。」という一義的な考えのもと、その撲滅のための活動に注目が集まるだけのことが多いと感じます。
しかし、今回のような事件には、野生動物の保護を考える観点からも、より多角的に問題をとらえ考えていく必要があると感じさせられました。また、現在ボルネオ島で大規模に作られているアブラヤシのプランテーションは、現地の熱帯雨林を消滅させ、ゾウはもちろん多くの野生動物を死の淵に追いやっています。そして、今回の70発の銃で撃たれ殺害されたゾウは、プランテーションへ侵入し荒らすことを恐れたガードマンによって命を絶たれました。
この様なニュースが入ってきた際、忘れてはいけない視点があると思います。当然、動物たちの命を奪う密猟者なりプランテーション関係者には重い罪があります。しかし、なぜそれらは起こってしまうのか、を考えてみると、ただ単に密猟が悪だ、プランテーションを作ることが悪だとは言えないはずです。
マレーシアにとって、また、その国民にとって、世界的に増えているパーム油の需要を賄うためのプランテーションは生きていくための糧となっていることがしばしばです。「経済の発展」がこのような行為の背景にあるとするならば、まずそこに向き合い考えていくことが、何よりも重要だと感じます。動物・自然保護、住民たちの生活、どちらの視点にも立って考えていきたいと思いました。
文責:インターン北村
参照:「Pygmy elephant found dead in Tawau riddled with 70 bullets」
Free Malaysia Today(2019.11.14)
「Police:Pygmy elephant killed by plantation guards,not porchers」
THE Star ONLINE(2019.10.02)