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1週間で4頭の貴重なボルネオゾウが死亡:BORNEOTODAY 8月28日のウェブ記事より
マレーシア領ボルネオ島北部のサバ州で新たに4頭のボルネオゾウが死亡しているのが見つかったそうです。サバ州北東部のキナバタンガン地区では若いゾウアブラヤシの倒木にあたり死亡、デラマコット保全林(Dermakot forest reserve)の近くでは母子のゾウが密猟者によって銃殺されました。残る1頭はデュンパス(Dumpas)の近くで死体が見つかりましたが死因は不明だそうです。また、北ウルセガマ(North Ulu Segama)の近くで罠による傷を負ったゾウが発見されましたが、治療が成功しないとこのゾウも死んでしまうかもしれません。
サバ州では2018年1月から25頭、5月からでは3か月間で17頭ものボルネオゾウの死が確認されており、最近の1週間で4頭が死亡したというのは深刻なペースです。サバ州野生動物局(SWD)によるとサバ州の熱帯雨林には2000頭のボルネオゾウが生息すると見積もられていますが、このペースでゾウの死亡が続けば、近い将来サバ州のボルネオゾウは絶滅しかねません。
ボルネオゾウの死因は、スネアトラップ(くくり罠)による怪我や銃殺、仕掛けられた毒の摂取などによるものだそうです。人為的な死は減らせるはずですが、SWDはこの問題に関してあまり積極的ではないと報道されています。動物愛護家やジャーナリストはSWDの消極的な姿勢を批判し、人事を交代するべきだと述べています。
記事ではSWDだけが大きく批判されていましたが、この問題を解決するのにはSWDだけでなく現地の、そして世界の人の意識を変える必要があると思いました。密猟やアブラヤシプランテーションから生産されるパーム油によって得られる目先の金銭的な利益のためにボルネオゾウを絶滅させ、ボルネオゾウの観光資源としての価値や、地域の生物多様性という価値を失ってしまってもいいのか。これは未だに象牙取引に対する規制が甘いとされる日本(種の保存法改正後も象牙加工品の合法認定シールが任意)に住む私たち、パーム油を大量に消費している私たちが真剣に考えなくてはいけない問題だと思いました。
文責:藤井真理奈(インターン)