2018年にサントリー世界愛鳥基金の助成で実施したサイチョウ保全プロジェクト。BCTJの活動地域であるキナバタンガン川流域で生息数が減っているサイチョウのために人口の巣を作り、繁殖を試みる取り組みです。
今回のプロジェクトは現地で長くサイチョウの保全と研究に携わっている Ravinder Kaur 氏に協力することで実現しました。
人口の巣をつくると言っても「鳥なんだから、丸い穴の空いた木箱を木に仕掛けておけば巣を作ってくれるだろう」と言った簡単な話ではありません。野生のサイチョウは大木の洞(うろ)に巣を作ります。その環境にできるだけ似せてサイチョウが快適に過ごせるものを、巣の材質や内部の温度、湿度などを工夫しながら作り、サイチョウに気に入ってもらって初めて巣として使えるものになるのです。
また、せっかく作った巣も他の鳥やリスやヘビのねぐらになってしまったりすることもあります。成功までの道のりはなかなかに険しいのです。
ところが、昨年9月に仕掛けたばかりの巣を、ズグロサイチョウのペアがチェックしにきている様子が仕掛けたカメラで撮影されました!巣を設置してから5ヶ月。驚きの早さです。
まだ「使っている」わけではなく「使えるかな?」と気にかけている段階。このまま彼らに気に入られて、試みが成功することを祈ります。
今年度も助成が決定しているサイチョウ保全プロジェクト。今年はどんな結果をもたらしてくれるのかが今から楽しみです。