三井物産環境基金の2018年度活動助成・研究助成の助成案件が決定し、ウェブサイトで公開されました。
今回、BCTJは「マレーシア・サバ州で野生ゾウの保護施設と村のために、現地の人々と保全について語りながら井戸を掘る」というタイトルで助成金額580万円、助成基金2年間の基金を獲得しました。
マレーシア・サバ州で、野生ゾウの保護施設と村のために、 現地の人々と保全について語りながら井戸を掘る
私たちが恩返しプロジェクトで手がけているボルネオゾウの一時保護・飼育施設は、熱帯地方であるにも関わらず慢性的な水不足に悩まされています。
理由は貯水設備の不足と公共水道の不備にあります。
動物、特にゾウを世話するためには大量の水が必要となりますが、施設の水供給は雨水タンクに依存しています。公共水道も設置はしてあるものの、ポンプが故障したり水が止まったりで十分な水を賄うことができません。
熱帯気候だから雨は十分に降るだろうという意見もありますが、昨今は気候変動の影響もあるのか雨の降らない時期が続くことも多く、気まぐれなスコールに頼っていては安定した施設運営を行うことはできません。
そこで、施設のそばに井戸を掘って水不足に備えることにしました。また、施設にゾウのエサの運搬を依頼している村落が運営する宿泊施設にも同様の井戸を建設し、宿泊者の利便性を確保するとともに村落のエコツーリズムに貢献できるようにします。
助成金の運用は4月から。立派な重機を所有し十分な実績を持った井戸業者に依頼すれば解決するわけではなく、現地の風土に最適な工法を選択し、井戸を作る必要があります。場合によっては現地の人々と協力して人力で掘る方が良い、ということもあるかもしれません。
現地の状況にマッチした井戸の掘り方を調べていくと、たどり着いたのは千葉県に伝わる伝統的な井戸掘り方法の「上総掘り」でした。上総掘りの施設が残る千葉県袖ヶ浦に出向いて話を聞き、文献を読み、動画を見ながらこの方法でうまくいくのかどうかを検討している最中です。
6月末に現地調査を行い、一定の方向性を定めてくる予定です。