井戸掘りプロジェクトのご報告をする前に、井戸掘り作業で主要な用語をまとめました。
これらの用語は、プロジェクト報告でよく使われるため、先に目を通していただけると、報告内容をよりスムーズにご理解いただけるかと思います。
1 肥後車:井戸孔が深くなると竹ひごを何本も繋ぎ、折れたり曲がったりし、竹ひごの置き場にも困ります。
その場合は、竹ひごを巻いておける肥後車が必要です。
2 竹ひご:竹ひごを何本も繋げば、深く掘ることができ、井戸の深さを測ることもできます。
3 ハネギ:竹を利用したバネです。鉄管を下に押すと竹の弾性で自然に鉄管は持ち上がり、掘る時の負担が軽減します。
4 撞木:掘る時の持ち手です。
5 堀り鉄管:井戸掘りでは、鉄管の重さを利用するため5~6mの長さがあります。
6 スイコ:井戸孔に溜まった水や堀りくずを集める道具です。
7 やぐら:堀り鉄管とハネギを、設置し、長い竹ひごがスムーズに動くようにするためにやぐらを作ります。
8、ネバミズ:井戸壁の崩れを防止したり、鉄管の冷却のための土と水を混ぜたネバネバした水です。
2024年9月17〜21日、井戸掘りプロジェクトのために現地スタッフの岸さんがBESを訪問。ワーカーとともに現状の確認と井戸掘り装置の修理を行いました。
9月18日(水):
ヤグラ(写真下)の修復に必要なのは竹は6本ほど。BESへの搬入は夕方となったため、それまでの間はBESに生えている竹のなかから、使えそうな太さに育っていた2本を切り出し、竹ヒゴ作りを行いました。
新しく働き始めた2名のワーカーはとても理解が早く、作業に必要な技術をサクサクと習得し、竹ヒゴを完成させてくれました。現地の人は器用です。午後15時過ぎには、長さ4mの竹が6本届きました。
9月19日(木):
午前中はヤグラの1番下と1番上の痛んでいた竹を交換。午後はヤグラのぐらつきを直し、ハネギを取り付けました。ハネギが少し斜めになってしまったので、後日真っ直ぐに直してもらいます。
いよいよ竹ヒゴと掘り鉄管を繋ぎ、堀作業の練習を開始。井戸を掘るためには、ハネギのバネの反動と堀鉄管の重さをうまく利用しながらリズム良く行わなくてはならないのですが、新人の2人ともすぐにコツを習得。飲み込みのはやさに驚かされます。掘り鉄管も回しながら、井戸孔全体を平均的に掘るよう伝えました。酷暑のなか、2時間弱の掘り作業で孔は2cmほど進み、ここまではとても順調です。
9月20日(金):
ヤグラの修復作業と竹ヒゴ作りが予定より早く終わったので、1日掘り作業を行うことができました。しかし、孔の底は12m25cmあたりで、鉄板が入っているかのように固くなっています。
5月末には13m42cmまで掘り進んでいました。ということは80cmほど泥で埋まってしまっている計算です。掘り進めるとともに出てくるのは灰色の粒子が非常に細かい粘土で、掘り鉄管についた粘土も固まるとブラシでこそぎ取るのも苦労するような、厄介な粘土でした。恐らくこの粘土が1m以上も底で固まっていると思われます。
底があまりに固いため、なんとか孔を進めようと午後は先端パーツを三つ又に替えて掘ってみました。
掘り作業を終えて鉄管を引き抜くと三つ又の間に10cm角ほどの石が挟まってついてきています。石の層はあるかもしれませんが、少なくとも5月に到達した3m42cmよりは下にあるはずですから、大雨などで2ヶ月ほど作業が中断されていた間に井戸孔壁からはがれ落ちたものと思われます。
9月21日(土):
この日も掘り作業を行う予定でしたが、作業員の人手不足により急遽、休みとなりました。代わりに、作業員の一人に1時間ほど道具の説明と今後の作業依頼の説明を行いました。午後は今後の打ち合わせと倉庫の掃除、道具の整理を行ないました。
ここから2~3週間様子を見ます。10月末頃にまた現場を訪問し、状況確認を行う予定です。